神々の山嶺 夢枕獏

カメラマンの深町はエベレスト登頂を目指すが、仲間二人を亡くして失敗に終わった。

消え入りそうな山への想いと、山に焦がれる気持ちが交錯する中、カトマンドゥで、偶然手に入れた古いカメラを巡って、新たな物語に巻き込まれていく。

カメラは1924年にエベレストに挑戦したマロリーが使用していたものと一致し、前の所有者は日本人であるという。

登山史を根底から覆しうるカメラをきっかけに、伝説の登山家 羽生丈二と出会い、次第に彼の生き方に魅入られ、彼を追いかけるようになる。

痛々しいまでに山に執着した生き方しかできない羽生丈二の生き様をどこまでも真っ直ぐに描き切った作品であると感じた。


作者の夢枕獏さんが「書き残したことはありません」とあとがきに書いた通り、渾身の一作。